風のごはん

心の整理。

染、色 第2回観劇後感想

 

2回目の染、色を終えました。

また新たに思ったこと、気になったことがあったのでつらつらと書き連ねていこうと思います。時系列ぐちゃぐちゃです。

 

▪︎ひとつめの違和感

全てのストーリーを頭に入れて観ると、大きすぎる伏線が初めに仕込まれてたんだなぁと…。

滝川のアトリエで、北見原田達と呑み、潰れた北見原田を横目に杏奈とキスしていた深馬。

2人が目覚めたのに驚いて、杏奈がイーゼルにぶつかってキャンバスが落ちてきた瞬間、深馬はキャンバスを腕で抑えて杏奈を庇う。

それから深馬は不思議そうに自分の腕を眺めて高笑いしてるんだけど、この瞬間の深馬は今までの深馬では無いように見えた。真未が生まれた、ないしは宿った瞬間とも言えるのでは。

 

▪︎深馬の高笑い

1度目はキャンバスを抑えた後に腕をみて、2度目は目が覚めてグラフィックが完成していた時に。(多分)

高笑いしている深馬は確実に芸術の世界に染まっていて、本来の自分が薄れているようで、またその恐ろしさも感じた。

 

▪︎【 ※ 超私的拡大解釈】真未は深馬に訪れたミューズか

ミューズは特に芸術の方面で、アーティストにインスピレーションを与えたりする女神のことを指すことが多いのですが、(失恋ショコラティエサエコさん的なポジションですね。)(語源はギリシャ神話のムーサ。ちなみに分野毎に分担制のようで9人くらいいる)真未は深馬に宿ったそれだと思うのです。

真未は芸術の女神(もしくはそれが遣わせた者)ともとれるなと。

ただ人間の器に神を宿すには重すぎて、多分自分のままではいられないのではないかと。(これが高笑いに繋がるのかなとも)

あくまで深馬として極めて普通の自分の意識を持っていたいか、自分を飲み込まれて、自分を捨ててでも非凡なアーティストとして居続ける覚悟があるか。

芸術の神に見初め…見染められる事は、自分の想像以上のものを生み出せる一方で、自分が小さくなって無くなっていくような怖さを孕んでいるものだと思うので…

深馬にはその覚悟がなかったから、真未とぶつかって手を離さざるを得なかったんだろうなと。(そして極めて普通の生活を杏奈と過ごしている)

 

▪︎真未にとってのスプレー=深馬にとってのグラフティか

スプレーを深馬に隠された真未と、グラフティしようとしてスプレーが切れてしまった時の深馬は同じ反応だった。

ポリダクトリーの6本の指、あれは深馬の手を真未が持ってスプレーしたから6本目があるようにみえたってことだと2回目にして気付きました。結局は深馬も義指を使っていたのだけれど。

 

▪︎ロランス朱里

現実では、ポリダクトリーを含む地域一帯のアートプロジェクトの中心人物として描かれたけど、深馬の世界線では自分を見初めたキュレーター。

なんなら、ロランス朱里のプロジェクトと同時期に真未がいたわけだから、もう真未が現れたのすらロランスの影響説まであるのでは…?実際はロランス朱智という実態の見えない概念こそが芸術の女神だったとも。

 

▪︎冒頭、深馬が滝川に耳打ちした内容は?

おそらく深馬は自分が絵を描けなくなった理由だと思った事象について耳打ちしているけど、滝川はそのせいじゃ無いだろうとの見解。深馬は何のせいだと思ってたんだろう…。深馬の創作への衝動が枯れてしまった理由。「枯れる」

 

▪︎秋に咲いた桜

入学当初のみなぎる深馬を指しているのかと思ってたけど(恐らく深馬も最初はそう思ってるのでは)、実際には真未と過ごしたひと夏のことを指すのかなと思い直した。

次の春に咲けるかはわからないけど、その桜の木は枯れてしまったわけじゃないからまた必ず咲く時が来るよ。

枯れる…といえば深馬の描きたいという衝動のことも指してたな…ダブルミーニングかな……

 

秋に咲いた不時の桜は 次の春も咲けるのだろうか…… 気づかなかった自分が悔しいですが、そう思ってしまうと星の王子さまが深馬の曲に聴こえてくる瞬間があって不思議。

 

▪︎ピンクのスプレー

真未の部屋に初めて行ったあと、深馬が付けて帰ってきたピンクのスプレー。杏奈はこれを汚れてるといって拭き取ろうとしていましたね。

壁の染みが気になるといって、肩車してもらって真未が上に塗り重ねたのもピンクのスプレー。

風呂上がりの真未がこれじゃなきゃだめなのと泣いていたのもピンクのスプレー。

これは私の感想だけど、スプレーを隠す前に深馬が空間に振りかけたピンクのスプレーは桜の花にも見えた。そういう伏線って思うことにする。

 

話は戻るけど、杏奈は多分アーティストの深馬の事好きじゃ無いというか、深層では深馬が芸術に惹かれているのを(芸術の女神に愛されていること)邪魔と思っている。お前はアーティストの彼女の器じゃない、代われ。(急に厳しい)(なぜ我が家)

 

▪︎杏奈の家で急に描き出した絵

杏奈に親とのことを詰められる→抱きしめて誤魔化す→急に絵を描き出す→杏奈は絵を観て驚く(唯一モノクロだった目の絵だったりする…?あれはびっくりするよね あの装備だと多分鉛筆だろうし。)

杏奈の家にいたはずなのにそのまま場転してアトリエに変わり、真未が現れる

1番現実と幻(真未のいる世界)がわかりやすく交差した瞬間だったように思う 違和感と少しの気持ち悪さがあったな…

 

▪︎深馬と真未とスプレーと

真未と喧嘩別れした後、深馬はひとりでグラフティを描きにいくがスプレーが出なくなる。これは真未との繋がりが絶たれたことを表しているように感じた。

スプレーを隠された真未のように、スプレーが出なくなった深馬は不安定になる。

この時の深馬は、深馬の中にひと夏だけいた芸術の女神がいなくなりぽっかり穴が空いた状態で、寂しいような、喪失感というか、心許ないような状態なのかなと。

滝川が犯人と分かり、真未と喧嘩別れした後、「全部滝川がやったことにしていいよ」と深馬は原田に連絡する。これが自身の夢(イコール真未との時間)から覚めた瞬間かなと。

あと真未に対してのスプレーを隠す行為は、現実世界では深馬は自分のキャンバスを破壊していたのと表裏一体だったように思う。自傷行為に近いというか。

 

▪︎病室のグレー

あれは夢現の状態かなと。照明バッチバチで浮遊感があるように見えた。真未を失った認識はあるけど、真未と過ごした時間については現実だと信じてるし、絵を破ったのは真未と思っている、どっちつかずの深馬。

あと病室でのことで言うと、北見のごめんは、杏奈とのことについてを、深馬のごめんは絵を壊したのを北見だと勘違いしてたことについて(まだこの段階では真未だと思っている)を言っているような…これはナチュラアンジャッシュが起きてんな。

 

▪︎夢から現へ

退院後数ヶ月。上着は白に戻るもののパンツはずっと黒→一度た後はいつまでも残るということかな。

深馬は北見原田との居酒屋で、自分で絵を壊したことを知る。 最後の北見原田の台詞は「まだだめなんだ…」これは深馬の状況か…そのまま真未の部屋へ走り、真未が実在したことを確かめに行く。

壁の「染み」を上書きしたピンクのスプレー。あれだけは(高さ的にも)深馬だけで描けるものじゃない

=確かに真未は存在したということ

それを感じて安心する深馬の表情がね…。

まぁそれも現実に見えてるものかはわからないんですけど、深馬にとっては確実に真未はいたってことなんですよ。それが唯一の救いであり呪いでもありそう。

 

▪︎深馬と滝川

高架下で滝川と対峙している深馬、それもある意味自問自答に見えた。

お前だって同じだろ?どうやってスランプから抜け出した?誰がお前をそうさせた?

滝川の言葉は深馬の言葉にも聴こえたし、一時でさえも女神から愛されなかった滝川の悲しみと嫉妬にも思えた。

冒頭に、真未から「滝川先生みたいになりたい?」と聞かれた時、深馬は「うーんどうだろう」と煮え切らない。やっぱり滝川のことをあんまり上には見てないのかな…

 

▪︎他には
初めて真未の家に行った後(行為には至ってない)、ピンクのスプレー付けて杏奈のとこに帰ってきた深馬「ただいま」普通お邪魔しますやろが これは狙った違和感ですね?

あの時から、真未が完成させた絵を「俺の絵」というようになってるんだよな〜まだ白の羽織なんだけど。

ちなみに黒の服を纏うのは真未と行為に至った直後からでしたね。そういうことですか。

 

ということで第2回の感想でした!

同じように見ているはずなのに、見え方が変わったり広がったり。

わたしも答えのない、よくわからないものをわかろうとして酔っ払っている最中かな。加藤シゲアキと正門くんに酔わされるなんて本望も本望ですが。